予定日よりちょうど1か月と10日早く産まれた緑は、早産にもかかわらず普通の手順で、びっくりするほど安産だった。
妊娠9か月、34週のある夜。それまでの妊娠期間に感じたことのない、生理の前のような眠さと体のだるさを感じた。振り返ってみるとその前2~3日の間も、なんとなく同じ症状だった。寝る前にお手洗いへ行くと、ぴっと赤いものが。「これはもしや、おしるし???」。おしるしならそう急がなくて良いとのことで、とりあえず布団へ。一応病院へ電話しようとスマホを見ると、ちょうど時計が6月7日の0:00の、右端がゼロになったところだった。電話に出たのは若い男の先生でちょっと要領を得ず、まぁ様子見ろとのことで朝まで待つことに。
横になっていると水が出ている感じ。再びお手洗いに行くと水?だが赤っぽいのでこれもおしるしの一環なんやろかと再び布団へ(朝までにこれ3回くらい繰り返す。振り返るとここからもう破水してるやないか!皆さん、破水したらすぐ病院だそうです。何事もなくて本当に良かった)
2時頃から腰の辺りに痛みを感じる。初めはうとうとしていられたがだんだん痛みで寝られなくなってきた。もしかして陣痛?ここまできてようやく現実に向き合った私。深呼吸して、お腹に手を当てる。緑、ちょっと早いけど産まれるんやね?小さな緑が、小さな風呂敷に荷物をまとめている姿が浮かんだ。ちゃんと産んでやらねば。よし、母ちゃんがんばるしね。今までずっとお腹の中で一緒にいてまだ同じく一緒にいるはずなのに、なぜか産まれるまではお話できない遠いところに行っちゃう気がした。
陣痛は間隔が狭くならないと病院には行けないとネットでみんな言ってるので(でも破水してたからホントは行くべきだった、ぴえん)、3時半頃もう結構痛かったが、痛みの合間に洗濯してメール返して、ネットショップ一時閉店して、その日予約してたオンライン英会話レッスンキャンセルして、ガスの元栓切って入院の荷物を確認した。1時間ほどそれやって一応布団に戻ったが、もう痛くて寝られなかった。
ようやく朝8時になって病院に電話、すぐ来いとのこと。配達係の神戸氏に車出してきてもらい、荷物を運んでもらう。なんとか歩けたがもう結構激痛で(でも振り返ってみたらまだまだレベル2くらいだった)、視界がぼやけた。梅雨に入っていたけどびっくりするような快晴で、高い空は雲ひとつない水色で、生い茂った柳の緑に半分ほど覆われて、眩しいくらいの朝の光に溢れていた。涙目の視界に、水色と緑の境界が滲み、水彩絵の具のパレットのようだった。緑、この日を見計らってたみたいに、美しい日だよ。
どんなに痛くてもあの景色を写真に撮っておけば良かったとも思うんだけど、私の見た以上には美しく撮れなかっただろうから、まあ良いことにしてる。でも来年からは、6月7日の十軒町橋から見上げる木屋町の空は、写真に収めていこう。
緑が産まれる日の朝、そのようにして私は病院に行った。
この記事を書いているのは実際には2021年8月23日の0:00の右端がちょうどゼロになった頃で、隣で寝ている小さい緑がのびをしたりしている。小さいけれど、帰ってきたときのちょうど倍くらいの大きさになったよ。忘れないうちに、君の産まれた美しい朝のことが書けて良かった。

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